アンドレ・チャイコフスキー:歌劇「ヴェニスの商人」Op.7(全3幕+エピローグ)

ワインベルクの「パサジェルカ」に続くブレゲンツ音楽祭驚愕のオペラ初演。
早世した名ピアニスト、アンドレ・チャイコフスキーの「ヴェニスの商人」

  • アーティスト:エリク・ニールセン
  • レーベル:EURO ARTS
  • 品番:20-72708
  • ジャンル:ジャンルクラシック歌劇
  • 価格:オープン価格
  • 形態:DVD
  • 録音情報など:リージョンオール, NTSC 16:9, 音声:DD5.0 / PCM STEREO
  • 収録時間:160分(コンサート)+45分(ドキュメンタリー)

TRACK LIST

アンドレ・チャイコフスキー:歌劇「ヴェニスの商人」Op.7(全3幕+エピローグ)
[+ドキュメンタリー「ブレゲンツへの旅・オペラ計画」(マーク・チャールズ監督]

ヴェニス大公:リチャード・アンガス(Bs)、
アントーニオ:クリストファー・エインズリー(CT)、
バッサーニオ:チャールズ・ワークマン(Ten)、
サレリオ:エードリアン・クラーク(Bs)、
ソラーニオ:ノーマン・パツケ(Bs)、
グラシアーノ:ディヴィッド・スタウト(Br)、
ロレンゾー:ジェイソン・ブリッジズ(Ten)、
シャイロック:アドリアン・エレート(Br)、
ジェシカ:キャスリーン・リーウェック(Sop)、
ポーシャ:マグダレーナ・アンナ・ホフマン(Sop)、
ネリッサ:ヴェレーナ・グンツ(Ms)、
エリク・ニールセン(指)ウィーン交響楽団、プラハ・フィル合唱団
原作:ウィリアム・シェイクスピア
台本:ジョン・オブライエン
舞台監督:キース・ワーナー
映像監督:フェリックス・ブライサフ
[2013年7月/ブレゲンツ音楽祭(ライヴ)]

★チャイコフスキーの歌劇「ヴェニスの商人」と聞いて驚く向きもあるかもしれませんが、作曲者はロシアのピョートルではなく、ポーランド出身のアンドレ・チャイコフスキー(1935-1982)。ヴィルトゥオーゾ・ピアニストとしてRCA等に録音がありましたが、ガンのため46歳で早世しました。本人は作曲家志望で、ピアノ協奏曲やピアノ小品はCDにもなっています。寡作家だった彼が、1968年から死の直前まで取り組んでいたのが唯一のオペラ作品「ヴェニスの商人」で、最後の24小節がオーケストレーションされぬまま残され、アラン・ブーステッドにより補筆完成されました。
★アンドレ・チャイコフスキー(本名ロベルト・アンジェイ・クラウトハムメル)はユダヤ人家庭に生まれ、第2次世界大戦中両親を失いますが、ワルシャワ・ゲットーを抜け出し、2年間潜伏生活を送り生還。しかしそれがトラウマとなり、戦後は鬱病に悩み、さらに同性愛者だったことも共産主義ポーランドでは「好ましからざる人物」とされ、1958年にイギリスへ亡命。同地ではイギリス人以上に立派な英文を書き、イギリス人以上にシェイクスピア作品に精通していたとされます。
★チャイコフスキーがまさに心血を注いで取り組んだ「ヴェニスの商人」は、作曲中の1981年にイングリッシュ・ナショナル・オペラで初演される計画が持ち上がりましたが、頓挫。結局作曲者の死後30年以上も顧みられることなく放置されました。ブレゲンツ音楽祭は、2010年に、やはりユダヤ系ポーランド人作曲家だったワインベルクの歌劇「パサジェルカ」を蘇演させ、成功をおさめた経緯から、「国を離れて忘却の淵に沈んだ」ポーランド系オペラのシリーズ第2弾として、2013年7月18日に世界初演を行いました。
★内容も衝撃。2時間40分の上演中、サスペンスあり、恋愛ありと起伏に富み飽きさせません。音楽もベルクを思わせる情念に満ちたものから、中世風の舞曲、ワーグナーの「指環」のライトモチーフ借用まで多様。原作は中世の話ながら、衣装やセットは現代風。1970年代にこれほど重要なオペラが書かれていたことに驚かされます。アントーニオ役クリストファー・エインズリーのカウンターテナーとバッサーニオ役のチャールズ・ワークマンのテノールによるBL風絡みも今風でオシャレ。あらゆる意味で、21世紀の重要な作品になりえると申せましょう。

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