シューマン:ピアノ協奏曲イ短調Op.54、プロコフィエフ:『ロメオとジュリエット』組曲第2番

予想以上の素晴らしさ。
アルゲリッチとチェリビダッケ、
空前絶後の共演が日の目を見た。

  • アーティスト:マルタ・アルゲリッチ、セルジュ・チェリビダッケ
  • レーベル:ALTUS
  • 品番:ALT-300
  • ジャンル:ジャンルクラシック協奏曲
  • 価格:オープン価格
  • 形態:CD
  • 録音情報など:A D D, ステレオ, ライヴ録音
  • 付属品:日本語帯・解説付

TRACK LIST

①シューマン:ピアノ協奏曲イ短調Op.54
②プロコフィエフ:『ロメオとジュリエット』組曲第2番Op.64よりモンタギュー家とキャピュレット家/少女ジュリエット/別れの前のロメオとジュリエット/アンティーユ諸島から来た娘たちの踊り/ジュリエットの墓の前のロメオ/タイボルトの死

マルタ・アルゲリッチ(Pf)
セルジュ・チェリビダッケ(指揮)フランス国立放送管弦楽団
録音:1974年5月19日/シャンゼリゼ劇場(ライヴ)

★これは凄いリリース。アルゲリッチとチェリビダッケ伝説のシューマンのピアノ協奏曲が日の目を見ました。どちらのリリースでも大ニュースとなる大物の奇想天外な共演が、マスターテープからの復刻なので、冷静でいることが不可能と申せましょう。
★シューマンの協奏曲はアルゲリッチの十八番で、1952年のブエノスアイレスでのライヴから、2010年のアルミンク&新日本フィルのライヴまで10種類以上のディスクが存在しますが、この演奏はそのなかでも飛びぬけて凄い出来となっています。
★当時アルゲリッチは33歳、出だしのカデンツァから魔術全開で、ライヴで乗った時特有の音楽への没入ぶりに驚かされます。ことに第1楽章半ばの「アンダンテ・エスプレッシーヴォ」でのねっとりとした音色の歌い回しは、アルゲリッチにしかできない神業。ピアノとオーケストラが穏やかに対話する第2楽章は、瞑想的なチェリビダッケと感覚的なアルゲリッチの個性の違いが面白さ満点。さらに驚くほどの生気に満ちたフィナーレなど、あまりの素晴らしさに声を失うほど。ライヴで燃える彼女の良さが最高度に発揮されていますが、おそらくチェリビダッケの要求からか、通常よりかなり抑制が利き、それがかえって多彩なニュアンスを生む結果となっています。
★チェリビダッケによるオーケストラ・パートも、驚きのひと言につきます。シューマンのオーケストラ・パートがこれほど透明に聴こえるのは稀で、さらに第3楽章の変拍子的な難所をはじめアルゲリッチにピッタリ付けて、完璧主義者の面目躍如たる指揮ぶり。あくまでもアルゲリッチを主役に立てつつも、しっかりと充実したチェリ節を味わわせてくれます。
★プロコフィエフの「ロミオとジュリエット」はチェリビダッケお得意の演目。オーケストラの機能を追求した非センチメンタルな音楽はまさに彼向きですが、「ジュリエットの墓の前のロメオ」の凄みに満ちた慟哭、「タイボルトの死」の死の匂いのする疾走など、同バレエ音楽屈指の名演と呼ぶにふさわしい内容となっています。

◆レコード芸術 2014年11月号 特選盤
4.54364E+12

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