★イタリアの若き才能、マッティア ･ チガリーニの変則トリオ ･ アルバム。なんと、ベースレス、サックス、ピアノ、ドラムによる編成。ドラムレスの編成は、デュオの延長線上のようなものとしてありますが、オルガンが入るわけでもなく、ベースを刻むチューバなどのブラスが入るわけでもない、この編成は珍しいといえましょう。
★しかし、結果として本作は興味深い成果を遂げたといえそう。ドラムが導き出す先鋭的なリズムと、ベタなブロック･コードの多用を避けつつ、シングルトーンによって、コード ･ プログレッションを意識させる才気あふれるピアノと、緻密かつ大胆なインプロを繰り広げ、テンション感高い演奏が実現しました。
★ピアチェンツァのコンサヴァトリーで、バルトーク、リゲティ、またシェーンベルクといった作曲家の音楽を研究し、バルカン音楽にも傾倒したというチガリーニ。ある種現代音楽的でありつつ、変拍子なども組み込みながら、しかしイタリア人らしいメロディを活かしたサウンドのバランスが個性的な響きを生んでいます。