巨匠ムーティ指揮シカゴ響音楽監督就任記念ライヴ
名優ドパルデューによる圧巻のナレーション
ベルリオーズの「幻想」&「レリオ」
- アーティスト:ジェラール・ドパルデュー、リッカルド・ムーティ
- レーベル:CSO RESOUND
- 品番:CSOR-9011501
- ジャンル:ジャンルクラシック交響曲
- 価格:オープン価格
- 形態:2CD
- 録音情報など:D D D、ステレオ
- 収録時間:54:48、59:54
巨匠ムーティ指揮シカゴ響音楽監督就任記念ライヴ
名優ドパルデューによる圧巻のナレーション
ベルリオーズの「幻想」&「レリオ」
ベルリオーズ:
・幻想交響曲op. 14
ⅰ夢、情熱15:19
ⅱ舞踏会6:46
ⅲ野の風景16:07
ⅳ断頭台への行進6:40
ⅴワルプルギスの夜の夢9:56
・レリオ(または「生への回帰」)op. 14b
語り2:32 ‐ⅰ漁師(テノール独唱とピアノ伴奏)6:22 ‐語り2:22 ‐ⅱ亡霊の合唱(管弦楽と合唱)5:48 ‐語り3:36 ‐ⅲ山賊の歌(バリトン独唱、男声合唱と管弦楽)4:19 ‐語り1:46 ‐幸福の歌(テノール独唱と管弦楽)6:26 ‐語り1:46 ‐ⅴエオリアン・ハープ-思い出(管弦楽)3:57 ‐語り5:08 ‐ⅵシェイクスピアの「テンペスト」にもとづく幻想曲(管弦楽と合唱)14:18 ‐語り0:49 ‐コーダ 1:05(語りと管弦楽)
ジェラール・ドパルデュー(語り)
マリオ・ゼッフィリ(テノール) カイル・ケテルセン(バス=バリトン)
シカゴ・シンフォニー・コーラス デュアイン ・ウルフ(合唱指揮)
シカゴ交響楽団 リッカルド・ムーティ(指揮)
録音:2010年9月23、24、25 & 28日/シカゴ・オーケストラ・ホール(ライヴ)
★ベルリオーズの「幻想交響曲」は、「ある芸術家の生活のエピソード」という標題のもとに書かれた二部作の第一部にあたり、「レリオ」はそれに続く完結篇として1831年に完成しています。
このアルバムは、リッカルド・ムーティが2010年9月のシカゴ響音楽監督就任記念コンサートで、1832年の「レリオ」初演時と同じく「第一部、第二部として通しで演奏するように」というオリジナル・コンセプト通りに演奏したライヴ録音からのCD化です。
大女優ハリエット・スミスソンへの熱狂的な恋愛感情と失恋の痛手が作曲の動機付けとなった「幻想交響曲」と同様に、ベルリオーズ自身の個人的体験が「レリオ」の成立に直接的な影響を及ぼしています。それは、ローマ大賞の作曲コンクール優勝と「幻想交響曲」初演の成功という絶頂から一転、フィアンセで新進ピアニスト、カミーユ・モークに婚約破棄を通告されて逆上し、その殺害を図ったというあまりに劇的で驚くべきもの。
抒情的独白劇「レリオ」を構成する6曲は、第1曲が1828年頃の歌曲、第2曲が1829年のローマ大賞コンクール用カンタータ「クレオパトラの死」第2曲「瞑想」、第3曲が1829年頃の歌曲の改作、第4曲と第5曲ともに1827年のローマ大賞コンクール用カンタータ「オルフェウスの死」の改訂、そして第6曲は「レリオ」初演以前の1830年作曲、オペラ座初演という具合に、それぞれ別個に作曲されたもので、ベルリオーズ自身を模した作曲家レリオのモノローグを介してつなぎ合わされています。
第1曲やコーダをはじめ、「レリオ」においては重要なポイントで「幻想交響曲」の固定楽想(イデ・フィクス)が現れて全体の統一感をもたらしていますが、同時に全曲を通じて中心となる「語り」の役割がきわめて重要なため、歌手ではなく、すぐれた第一級の演劇俳優が演じるよう指定されています。
ベルリオーズの指定はさらに続き、本番で舞台上には語り手のみが立ち、開始から第5曲まではオーケストラ、独唱者、合唱団は舞台に下ろされたままのカーテンの背後で演奏、第6曲の演奏時にのみカーテンが上げられます。これは第6曲以外の全てをレリオの空想上のこととするためで、こうした細部に亘るこだわりにも作品の特異性が際立っています。
独創的なアイディアと天才的力業とでもいうべき画期的な表現が発揮された「レリオ」ですが、ムーティがここに至る過程で、その上演に情熱を傾けてきたのは熱心なファンのあいだでよく知られるところです。
2007年8月にザルツブルク音楽祭でウィーン・フィルと、2008年6月にラヴェンナ・フェスティバルでケルビーニ管弦楽団およびイタリア・ユース管弦楽団の合同オケと、2009年2月にパリ・シャンゼリゼ劇場でフランス国立管弦楽団と、ムーティはひとりの指揮者としては異例ともいえる頻度でこの作品を演奏しており、シカゴ響を指揮したこのたびの内容はこうした実演でのじゅうぶんな成果を踏まえた流れのなかに位置するものといえます。
当時、この公演の模様は大きく取り上げられましたが、これには「レリオ」の要となる語り手にふさわしく、ムーティによる上記の実演全てに参加していた名優ジェラール・ドパルデューの存在も見逃せません。ムーティとの呼吸もさすがで、フランス語の味わい深いディクションからは、あらためて作曲者の意図を知る思いがします。
なお、ムーティは「幻想交響曲」を、1984年にフィラデルフィア管を指揮してセッション録音、2007年にケルビーニ管弦楽団とイタリア・ユース管弦楽団の合同オケを指揮してライヴ録音していたので、このたびが3種目、「レリオ」については上記ラヴェンナでの公演を収めたライヴ映像作品があったので、2種目となります。
2016年1月には、ムーティとシカゴ響の来日も予定されており、ますます注目度の高まるコンビといえるでしょう。