バッハ－コルトレーン･プロジェクト、アマデウス-ザ･デューク･プロジェクトと、ジャズ、クラシックを融合させた試みで本国フランスで話題となったサックス奏者、ラファエル･アンベール。しかしそうした企画の斬新性のみならず、ジョー･マーティン～ジェラルド･クリーヴァーといったNYの一流リズム･セクションとのピアノレスのサックス･トリオに、目を見張ったジャズ･ファンは少なくないことでしょう。コード楽器を排した編成で、かつ果敢なる挑戦を仕掛けてくるリズム･セクションとのインプロヴィゼーションは、ジャズ奏者としての実力を見せてくれたものでした。
　本作は、そんなラファエルがポーランド系フランス・スイス人作曲家カロル･ベッファ(2013年のヴィクトワール・ドゥ･ラ･ミュージックのクラシック部門を受賞 )と繰り広げた即興音楽。基本的には、ジャズ的テンションは控えめの音づかいですが、音楽的世界は、ECMにおけるヤン･ガルバレクとジョン･テイラーが繰り広げるようなクリエイティヴな即興が印象的です。また小さな教会を舞台とした荘厳な雰囲気や、美しい残響音も印象的です。
　フランスの中央部に位置するカンタルでの録音。楽曲はすべて二人のオリジナルです。