★2018年は第一次世界大戦終戦100周年にあたります。それを記念してドイツの映像レーベルACCENTUS MUSICから『音楽、権力、戦争そして革命』をテーマとした3篇のドキュメンタリーが発売されます。 第1部の「第1次世界大戦の時代の音楽」は、大戦の前後で変わったクラシック音楽の役割について考察しています。1914年7月28日大戦は勃発。その一か月前にサラエヴォでオーストリア皇太子がセルビア人民族主義者に暗殺事件を口実にオーストリア= ハンガリー帝国がセルビアに宣戦布告しました。第一次世界大戦以前は、音楽が政治的に利用されることはほとんどありませんでした。19世紀は貴族、資本家たちの教養という側面でクラシック音楽の存在がし示されていた部分もありましたが、大戦がヨーロッパ中、世界中に深い傷を残し、変わり果てた世界で音楽に新しい役割を人々は見出すことになります。失われた世界の中で社会と密着した新たな楽曲を作り出そうとし、音楽は政治色を帯びていくこととなるのです。 第2部の「強いられた沈黙~ロシア革命期の作曲家たち」では、ソ連の全ての芸術家がスターリン体制の犠牲となり、自由な表現を抑圧されていました。ここでは、モソロフ、ルリエ、ロスラヴェッツ、プロコフィエフ、テルミンといった体制の犠牲となりその運命が左右された芸術家たちを取り上げています。30~40年続いた抑圧の状況から再起するには長い時間を要し、いまなおその危険と隣り合わせである政治手法についても憂慮すべきだと警鐘を鳴らしています。 第3部は、「音楽と権力」と題し、祖国の政治的な側面にも接している現代の音楽家(イヴァン・フィッシャー、ダニエル・バレンボイム、アンドラーシュ・シフ、ワレリー・ゲルギエフ)らのインタビューを交え、“音楽の力”、“手段としての音楽”、“音楽で世界を変える” というテーマについて、切っても切れない「音楽と権力」という関係について語ります。