★「モーツァルトは、1788年の夏、彼にとって最後となる3つの交響曲をおよそ3ヶ月で書いた後、もうひとつの巨大プロジェクトに取りかかった。交響曲の規模に匹敵する弦楽のための三重奏曲。『ディヴェルティメント 変ホ長調』というどことなく気取らない曲名をもつこの空想的な作品でモーツァルトは、作曲家、卓越した職人、劇作家としての彼の真髄をすべて明らかにしてみせた。およそ50分の演奏時間と壮大な線の戯れによる6楽章の音楽のため、それまでに作られた室内楽作品はみな影が薄くなってしまった。だが、その偉大さは、モーツァルトの時代に認められていただろうか?」(ヴォルフガング・プラッゲのライナーノートから)。弦楽三重奏のためのモーツァルトのこの作品は、近年、トリオ・ツィンマーマン(BIS SA 1817)のほか、ノルウェーのヘンニング・クラッゲルードと友人たちのトリオやトリオ・シリアクス=ペーション=ライティネンといった北欧の音楽家による録音もリリースされました。この作品をデビューアルバムのプログラムに選んだ「トリオ・タウス」は、2016年2月、ノルウェー室内管弦楽団のメンバーが結成したアンサンブルです。リヴ・ヒルデ・クロックのヴァイオリン、イーダ・ブリューンのヴィオラ、トールン・セーテル・スターヴセングのチェロ。クロックはオスロ弦楽四重奏団、スターヴェサングはロンドン・オーロラ・オーケストラと現代音楽アンサンブル「チカーダ」でも演奏しています。J・S・バッハの《ゴルトベルク変奏曲》とともに彼女たちがデビュー以来取り組んできた《ディヴェルティメント》。モッテン・リンドベルグ が制作と録音を担当してオスロのソフィエンベルグ教会で録音されました。