★2018年ベルリン国立歌劇場で上演されたバレンボイム指揮、マリオ・マルトーネ演出のヴェルディ《ファルスタッフ》の映像がリリース。
7年間の大規模な修復工事経て2017年9月に再開場したベルリン国立歌劇場。翌月のドイツ統一記念日には、音楽監督ダニエル・バレンボイム指揮によるシューマンの『ゲーテのファウストからの情景』(ARTHAUS MUSIK/10-9419BD)が上演されオープニングを祝いました。さらに同年12月には同歌劇場の開場275年を祝った特別プログラムが組まれ、華やかな幕開けとなりました。この商品に収められているのは、2017年12月の特別公演で新演出としてお披露目されたマリオ・マルトーネ演出のヴェルディ《ファルスタッフ》の再演となります。
★映画監督として実績がある演出のマルトーネは、この《ファルスタッフ》でドイツの「68年運動」にみられるカウンターカルチャーやヒッピー文化の中で生きる人生の快楽をひとつ残らず搾り取るような自由奔放な男としてファルスタッフを描いています。元来太った騎士であるファルスタッフは、ここでは革ジャンを着てロッカーのような服装でネオンが光る薄汚い地元の飲み屋に居座っているような演出。ファルスタッフは、2人の女性に"同じ文章のラブレター"を送りますが、それを託すのは大麻を吸っているエキストラで、その男は手紙を受け取るとフラフラしながら自転車に乗っていくというような有様。さらにナンネッタ役のナディーン・シエラがプールサイドにビキニ姿で登場するなど、マルトーネはウィットと高揚感に満ちたオペラを、スタイリッシュで現代的に演出しています。
歌手陣は皆素晴らしく、特にミヒャエル・ヴォッレの豪快さ、群を抜く歌唱の充実ぶりには舌をまきます。またフランチェスコ・デムーロの甘い美声、ナディーン・シエラの滑らかな歌声、ヤン・マルティニークとシュテファン・リュガマーのアンサンブルもひと際喝采を浴びていました。そしてバレンボイムのオペラ指揮者としての卓越した手腕が示された上演でもあったでしょう。
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https://www.youtube.com/watch?v=erSRLtHjz1E