★ハンブルク・バレエ団の芸術監督ジョン・ノイマイヤー。2023年シーズンはノイマイヤーとバレエ団50周年という節目の年。その記念すべきシーズンに発表された新作『ドナ・ノービス・パーチェム(我らに平和を与えたまえ)』の映像がリリースされます。この映像が収録されたのは2022年12月8&9日。本作のワールドプレミアの週であり、本来なら上演に集中するため撮影が入ることは許可されませんが、今回初めて許可されました。新作の初演にも関わらず、卓越したクオリティで上演され、改めてハンブルク・バレエ団の技術力、表現力、精神性の高さを示した形となります。
広島への原爆投下に着想した本作『ドナ・ノービス・パーチェム』。タイトルは、バッハの大作「ロ短調ミサ曲」の最終曲で、ラテン語の「Dona Nobis Pacem」から取られています。振付には、ジョン・レノンとオノ・ヨーコによる「イマジン」、広島の原爆投下時に熱線で残った人間の跡といわれる「人影の石」について詠んだ詩(独詩人ギュンター・クーネルトによる)が引用されています。ノイマイヤーは1986年の初日本公演時に広島の平和記念公園を訪れ、平和記念資料館にも足を運んでいます。また2022年2月24日以来続くロシアのウクライナ侵攻など、本作は人類を揺るがす苦しみに対して向けた世界平和への祈りと言えるでしょう。
ノイマイヤーは2024年、ハンブルク・バレエ団の芸術監督を退任予定。