★圧倒的な技巧、唯一無二の個性をもつピアニスト、ユジャ・ワン。第66回グラミー賞「最優秀クラシック器楽ソロ」部門を受賞するなど、その勢いは留まるところを知りません。
今回映像で発売されるのは、2022年にウィーンで行われたリサイタルの模様が収録されています。19世紀は、楽器の発達に伴って卓越した演奏技術をもつ演奏家が現れたいわば「名手の時代」と言えるでしょう。今回ユジャ・ワンがリサイタルで取り上げた演目は、そうしたピアノ音楽の隆盛、そして変遷を窺うことのできる多様なプログラムで聴かせます。
ベートーヴェンの初期と中期をつなぐ存在の「ピアノ・ソナタ第18番」。ブラームスの晩年の作品で神秘的な雰囲気をたたえる「間奏曲第3番」。スペイン生まれの作曲家アルベニスが生んだピアノ作品の最高傑作「イベリア」。アンダルシアの情景を美しく描き出した作品で、難曲中の難曲として知られています。ユジャ・ワンは、マラガ地方の音楽をモチーフにした独自のメロディとリズムが特徴の「マラガ」とメシアンが絶賛したという「エバピエス」の2曲を演奏しています。多楽章のソナタとしては最後であり、ロマン主義の延長にあるモダニズムへと向かっていく様が見て取れる作品スクリャービンの「ピアノ・ソナタ第3番」。24の長短調による前奏曲というピアノ音楽では伝統的な連作がジャズ・スタイルで書かれたカプースチンの「ジャズ・スタイルによる24の前奏曲」。リゲティ後期の代表作であり、17年以上の歳月をかけて作曲した全18曲からなる「ピアノのための練習曲集」。ミニマルミュージックの大御所フィリップ・グラスの「練習曲」。そしてメキシコ人の現代音楽作曲家であるアルトゥーロ・マルケスの代表曲で、北米や欧州では、オーケストラでよく演奏される人気楽曲「ダンソン第2番」のピアノ編曲版。といったモダニズムの作曲家たちの作品も多く取り上げられています。
時代と時代の接点にある作品を卓越したテクニックで聴かせ、伝統や常識にとらわれない衝撃的演奏は、聴き手に新しい発見と感動を与えます。
トレイラーはこちら→
https://www.youtube.com/watch?v=NqDAGIlwk-k