★2022年ザルツブルク音楽祭の目玉プッチーニの「三部作」の映像がリリースされます。リトアニア出身のドラマティック・ソプラノ、アスミク・グリゴリアンが、《ジャンニ・スキッキ》のラウレッタ、《外套》のジョルジェッタ、《修道女アンジェリカ》のアンジェリカという3つの役を一人で歌い上げた話題の上演です。グリゴリアンは2017年≪ヴォツェック≫のマリー役で注目を集め、その後《サロメ》《エレクトラ》と次々と出演しており、今やザルツブルク音楽祭に欠かせない存在。2022年11月には初来日を果たし注目度を高めています。
★このプッチーニの「三部作」は1918年12月14日ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で初演されました。第一次世界大戦の主戦場であったヨーロッパでの上演を断念しアメリカで初演となりました。これまで「三部作」は、《外套》《修道女アンジェリカ》《ジャンニ・スキッキ》という順で上演されていましたが、今回演出家のクリストフ・ロイは、初演以来の上演順を変更。大富豪の遺産を巡る親族間のドタバタ騒動と若い男女の恋を描いた喜劇《ジャンニ・スキッキ》、妻の愛人を妻の目の前で殺してしまうショッキングな事件を描いた《外套》、修道院の女性たちを描き人間性とその尊厳をテーマにした《修道女アンジェリカ》。一見この3つのオペラには何のつながりもないように思えますが、運命に翻弄される人間の姿をありのままに描いています。指揮はフランツ・ウェルザー=メスト、この複雑なテーマをまとめあげるには適任といえるでしょう。そして3つのオペラの3つの役をひとりで歌い上げるという偉業を成し得たグリゴリアン。《ジャンニ・スキッキ》ではラウレッタのアリア「私のお父さん」を可憐に歌い、年老いた夫を捨てて不倫に走るジョルジュエッタをドラマチックな歌唱で見事に歌い上げた《外套》、最後の《修道女アンジェリカ》では、亡くなった息子を抱き自殺するアンジェリカを高い歌唱力と演技力で聴衆をひき込みました。
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https://www.youtube.com/watch?v=q_Xzxnyar6c