シベリウス、カイパイネン、ティエンスーの「異なる声」
- アーティスト:カムス弦楽四重奏団
- レーベル:ALBA
- 品番:ABCD-383
- ジャンル: ジャンル クラシック 室内楽
- 価格:オープン価格
- 形態:SACD Hybrid
- その他の製品情報:5.1 multichannel/stereo
シベリウス、カイパイネン、ティエンスーの「異なる声」
異なった声
シベリウス: 弦楽四重奏曲 ニ短調Op.56《内なる声》
ヨウニ・カイパイネン(1956–): 弦楽四重奏曲第7番Op.98《バトシェバ》
ユッカ・ティエンスー(1948–): ラック
カムス弦楽四重奏団
テルヒ・パルダニウス(ヴァイオリン) ユッカ・ウンタマラ(ヴァイオリン)
ユッシ・トゥフカネン(ヴィオラ) ペトヤ・カイヌライネン(チェロ)
録音:2014年6月5日-7日 シャウマン・ホール(ピエタルサーリ、フィンランド)
★カムス弦楽四重奏団は、2002年、ヘルシンキのシベリウス・アカデミーの学生が結成したアンサンブルです。クオピオ出身のテルヒ・パルダニウスとユッカ・ウンタマラのカップルに、サヴォンリンナ出身のユッシ・トゥフカネンとラハティ出身のペトヤ・カイヌライネンが加わり、発足しました。アカデミーを卒業後、イギリス、オールドバラのブリテン=ピアーズ・プログラムとヨーロッパ室内楽アカデミーで学び、プロ活動に入りました。
本アルバムでは、シベリウス、カイパイネン、ティエンスーの「異なる声」をもった作品を取り上げました。シベリウスのニ短調は、作曲者が作品番号をつけた唯一の弦楽四重奏曲です。5楽章から構成され、シベリウスの持っていたポケットスコアの第3楽章の第21小節と第22小節のところに「Voces In-timae(内なる声)」--内面の奥深いところから聞こえてくる低い声--の書き込みが見つかったことから、この副題がつけられました。喉に腫瘍が見つかり、シベリウスが「限りある命」を意識したという時期、音詩《夜の騎行と日の出》の後、交響曲第4番に先立って作曲された作品です。
フィンランド音楽の第二次世界大戦後の世代を代表するひとり、ヨウニ・カイパイネンの第7番の四重奏曲は、フィンランドの作家ヴォルテル・キルピが生まれたクスタヴィで行われたフェスティヴァルの委嘱により作曲されました。『旧約聖書』のダビデ王とバトシェバの物語を題材とするキルピの処女作『バトシェバ』に基づく「B flat–A–D–(b)–E flat–E–B flat–A(B–A–D–(h)–Es–E–B–A)」の音列を主題とした作品。ユッカ・ティエンスーは、チェンバロ奏者、ピアニストとしても活動する多才な作曲家。器楽のための作品が多く、微分音調律のチェンバロのための《毒薬と老嬢》に代表される、独特の楽器の扱いで知られます。《ラック》は、アルディッティ四重奏団のために作曲され、2008年、オスロのウルティマ・フェスティヴァルで初演されました。曲名の「ラック(rack)」は「檻や棚、歯医者の治療台、中世の拷問台、あるいは、馬の軽掛けと、どのようにも理解できる」(カイパイネン)。緻密に構成された「稠密な音の彫刻」ともみなされる作品です。