★Alba Records の前のオーナー、創業者のティモ・ルオッティネン(1947–)は、1960年代の後半、財政運営の学生だった20代に《ミサ・ポピュラリス》と名付けたミサ曲を作曲しました。当時、世界は、ベトナム戦争、ナイジェリア内戦、プラハの春といった戦争や政情不安の真っただ中にあり、そうした激動する世界を根本から変えたいという願いが、音楽を含むあらゆる文化表現に浸透した時代でもありました。ルオッティネンのミサ曲も、その時代を背景に作られた作品です。1960年代のポップミュージックとプログレッシヴ・ロックを組み合わせた、当時としては急進的なスタイルで書かれたミサ曲は、1969年4月5日のトゥルク・コンサートホールでの初演は、賛否の議論を巻き起こしたと言われます。作品は、全曲を統一する主題をもつ「序曲」に始まり、ラテン語のミサ通常文を歌う〈キリエ〉〈グローリア〉〈クレド〉〈サンクトゥス〉〈アニュス・デイ〉とつづきます。バロックからブルースまで、多種多様なメロディとリズムが音楽を彩っています。
初演から50年の録音。オリジナルの版を使った演奏です。ルアムジャイ合唱団は、若い団員40人の混声合唱団。タイ語の「心を共有する」をグループ名にしています。「ニュー・セグメント・オーケストラ」と名付けたアンサンブルは、電気増幅したギターとベース、ドラム、ハモンドオルガン、ミニモーグ・シンセサイザー、シタールという、当時の音楽を尊重した編成をとり、『Honk』(ABCD433)などのアルバムを録音したマサ・オルパナ(1973–)、『ピューニキンリンナ・ライヴ』(ABCD428)で彼と共演したアルト・ピースパネン(1958–)たちが参加しています。