ラウリ・サッリネン(クラリネット)
[使用楽器:Henri Selmér Paris Récital in A & B♭]
アンナ・クヴァヤ(ピアノ)
[使用楽器:Steinway D]
録音:2021年5月14日–17日 クフモ芸術センター「レントゥア・ホール」(クフモ、フィンランド)
制作・録音エンジニア・編集:マルック・ヴェイヨンスオ
★メシアンやベリオたちのソロ・クラリネット曲による『孤独の歌』(ABCD 413)のラウリ・サッリネン Lauri Sallinen(1982–)と、シベリウスやラヴェルのピアノ曲を弾いた『河に住む』(ABCD 386)のアンナ・クヴァヤ Anna Kuvaja(1979–)のデュオによる『ソワレシュテュッケ』。フィンランドの音楽家ふたりは、COVID-19 の引き起こした地球規模のパンデミックのせいで、われわれの生活から失われてしまったものを「ひとつの記録」して表すため、このアルバムを作りました。
夕べの集いの音楽……親密さ、人と会うこと、一緒に音楽を作り、その瞬間を共有する。そのためにふたりがプログラムに選んだのは、ロベルトとクララのシューマン夫妻、そしてニルス・ゲーゼの曲。クラリネットとピアノのデュオの作品の他、ヴァイオリン、オーボエ、あるいは4手のピアノのために書かれた作品も含まれています。
ロベルト・シューマンが1849年に作曲した《幻想小曲集》は、ハーモニー、旋律線、反復が出版譜と大きく異なる「手稿譜」を基本にした演奏。彼がクララ・ヴィークに贈ったピアノ曲《3つのロマンス》から第2曲〈簡素に〉。クララ・シューマンがヴァイオリンとピアノのために書いた「アンダンテ・モルト(Andante molto)」「アレグレット:優しい語り口で(Alegretto: Mit zartem Vortrage)」「情熱をこめて速く(Leidenschaftlich schnell)」の《3つのロマンス》。デンマークの「ロマンティスト」ニルス・W・ゲーゼの《4つの幻想的小品》は、第3曲の〈バラード〉が伝説の英雄物語を思わせる、作曲当時から人気を集めた作品です。〈アンダンティーノ〉の第2楽章が美しいシューマンの《ピアノソナタ ト短調》。オーボエとピアノのために書かれた《3つのロマンス》は、2つの〈速くならないで(Nicht schnell)〉の間に〈簡素に、心から(Einfach, innig)〉がはさまれる作品です。
プログラムの最後に《小さな子供と大きな子供のための12の4手のピアノ小品》から、シューマン自身が「ヴァイオリンとピアノ」の版を書いたという第12曲〈夕べの歌〉がアンコールとして演奏されます。