★SACDハイブリッド盤。ノルウェーの期待の星、エルビョルグ・ヘムシング。BISレーベルからリリースされたショスタコーヴィチ&ボルグストレムのヴァイオリン協奏曲(BIS SA 2366)、ドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲、スークの幻想曲、愛の歌(BIS SA 2246)で注目を浴びておりますが、期待の第3弾では中国を代表する作曲家タン・ドゥンのヴァイオリン協奏曲を収録しました。
★母、姉(ラグンヒル・ヘムシングは2Lレーベルからリリースしています)、弟がヴァイオリニストという音楽一家に生まれたエルビョルグは、11歳でベルゲン・フィルとの共演でデビュー。ジュリアン・ラクリンやニコライ・スナイダーを育てたことでも知られるボリス・クシュニールに師事し、その才能を開花させました。優雅な音色にしてスケールの大きな演奏が魅力のヘムシングは、今最も期待のされるヴァイオリニストの一人として注目されており、欧州を中心に積極的な演奏活動を展開しております。
★ヘムシングとタン・ドゥンとの出合いは2010年。上海国際博覧会で共演したことがきっかけですぐに意気投合し、その後頻繁に共演を重ねてきました。ヴァイオリン協奏曲『ラプソディとファンタジア』は2009年にチョー・リャン・リンの独奏、ジュリアード管弦楽団により初演された2部構成の作品。この度ヘムシングとともに改訂した版を採用しております。1楽章にあたる「ロック・ザ・ヴァイオリン・イン・ラプソディ」はヒップホップ―マリンコニーア―ヒップホップから成り、パワフルかつ強烈なインパクトを与えます。2楽章にあたる「京劇の夢」はドルチェ・モルト―アンダンテ―アダージョ-アレグロと続く作品で、タイトル通り北京オペラから旋律を用い流麗な旋律が印象的です。
★一方、ヴァイオリン協奏曲『火の儀式』はオスロ・フィルとの共演で2018年9月に初演された作品です。モデラート―アンダンテ―モデラート―モデラート―モデラートの5 部で構成されています。罪なく戦争で亡くなった人々に捧げる思いで書かれたこの作品は作曲家と演奏者の思いが強く込められており、悲痛な叫びや生きようとする強い魂を感じる渾身の作品です。管楽器の一部をステージ外で演奏させるなど、音響にもこだわりを持って配置されております。
★両作とも作曲家タン・ドゥン作曲家のシャーマニズムとスピリチュアルな世界を北京オペラの要素をふんだんに取り入れた注目作といえます。