★なんとも感動しないわけにはいかない一枚である。

★フレディ・コールと言えば、言わずと知れた、不世出の大シンガー、ナット・キング・コールの実弟であり、デビューから既に半世紀以上経つ、超ベテランのシンガー。あまりに大きすぎる兄の存在を意識することなく、我が道を歩き続けてきた印象のあるフレディ。何処か、アウトロー的な魅力も持ち合わせた渋い、男気も感じさせてくれる歌いっぷりに、多くのファンを獲得している。

★実際、「I'm Not My Brother I'm Me」(HCD 7125) という皮肉めいたタイトルのアルバムを1990年に録音もしており、ナット・キング・メドレーも披露しておりましたが、俺はおれだ！という気持ちの表れを感じさせられもしました。

★現在、84歳のフレディ。本作は、盟友である、ヒューストン・パーソンらと共に、正面切って、ナット・キング・コールのソング・ブックに挑戦している作品。有名な"Sweet Lorraine"からあまり知られてないスウィンギ―な"That’s My Girl"などなど、愛のある熟成されたヴォーカルと、リラックスしたムードを醸し出す演奏に、深く深く、酔いしれることになるでしょう。

★なぜ、このタイミングでトリビュート・アルバムを？の問いかけにフレディはこう言ったそうです。「なぜって、今がその時、そう感じたんだ！」

★ラストを飾るアルバム・タイトル曲。最後の一節に、心震え、兄弟愛さえ感じさせられます。