★テオルボの名手として名を残しているカプスベルガーによる、声楽作品集の登場。カプスベルガーは、ドイツ人の両親のもと、ヴェネツィアに生まれました。彼はその生涯をほぼイタリアで過ごしました。結婚してローマにうつり、テオルボの名手として名を馳せ、上流階級の人々のサークルで演奏していました。ローマでは「Il Tedesco(イタリア語で、”ドイツ人”の意)」とも呼ばれておりました。彼はテデスコの名手でしたが、美しい声の持ち主でもあり、彼の最初の出版楽譜はマドリガーレ(1608/09)でした。これは今でも演奏される機会がきわめて少ないですが、テキストの詩情に見事に音楽が融合された作品ばかり。レスカドロン・ヴォラン・ド・ラ・レーヌの面々が、詩情ゆたかに奏でています。声楽作品の合間に収録された器楽曲も、どれも絶品です。L’Escadron Volant de la Reine(女王の飛行中隊)とはカトリーヌ・ド・メディチスが採用した侍女たちを指します。彼女たちは、ヨーロッパの他の宮廷との関係性を、会話など、彼女たちの存在そのものによって和らげる役割をになっていました。このアンサンブルも、彼女たちのように、ヒエラルキーなく、音楽活動を展開できることをめざして、アントワーヌ・トゥシェが中心となり、2012年1月に結成されました。様々な音楽祭に登場するなど、古楽シーンで重要かつ貴重な存在感を放っています。