★ハルモニア・ムンディ・レーベルでロシアのピアノ曲を精力的にリリースするヴァディム・ホロデンコ。最新盤はチャイコフスキー作品集。彼は数年来この企画を温め続け、満を持しての録音となりました。
★チャイコフスキーの「ピアノ・ソナタ ト長調」は名作「四季」と同じ作品番号を持ち、1878年に作曲されました。不幸な結婚から逃れてスイスで相方のヴァイオリニスト、コテクと楽しく過ごしながら回復し、ヴァイオリン協奏曲を作曲したのと同時期にあたります。長大で非常な難曲ですが、近年ロシアのピアニストたちが好んで録音するようになり、立て続けに名盤が誕生する作品となっています。
★チャイコフスキーにはもう1曲ピアノ・ソナタがあり、それもホロデンコの演奏で登場なのが大歓迎。Op.80という作品番号ながら、チャイコフスキーが学生時代に提出した初期作品。第3楽章スケルツォの主部が交響曲第1番「冬の日の幻想」の第3楽章に転用されていることも興味津々です。
★ホロデンコは銘器ファツィオリの豊かで明快な音色を駆使して充実の演奏を展開。フィルアップには「四季」でとりわけ有名な11月「トロイカ」と、あまり知られていない「ロマンス」が採り上げられています。「ロマンス」は「6つの小品Op.51」の第5曲。同じ曲集の第6曲が名作「感傷的なワルツ」で、この曲もチャイコフスキーならではの美しい世界を堪能できます。
トレイラーはこちら→
https://youtu.be/yIUewQxDjvY