★ライオネル・ターティス(1876-1975)は、現代ヴィオラ演奏の父とも賞される、ヴィオラ界の最重要人物。ヴィオラのための作品を数えきれないほど委嘱、さらに名曲をヴィオラのために編曲。さらに、楽器の製造についても助言するなど、ヴィオラのレパートリーと魅力、さらに楽器自体の発展に大きく寄与しました。このたび、若手ヴィオラ奏者として注目を集めるリダウトが、ターティス本人の作品や、ターティスの友人や師匠、生徒たちによるターティスゆかりの作品を集めて演奏、2枚組のCDとしてリリースします。
★ターティスはヴィオラの世界で大きく名を残していますが、そのキャリはピアノからのスタートでした。16歳でヴァイオリンを手に取り、19歳で弦楽四重奏に誘われてそこでヴィオラを発見、たちまち魅了されました。最初は独学でヴィオラを学び、1902年にクライスラーの演奏を聴いて、その美しいヴィブラートに衝撃を受けます。その奏法をヴィオラにも取り入れるよう試みました。
★ボーウェンは、ホルン、ヴィオラ、そしてピアノを演奏した音楽家で、ターティストもしばしば共演していました。また作曲にも長け、後期ロマン的なスタイルで、ヴィオラのために2つのソナタ、1つの協奏曲、4つのヴィオラのためのファンタジーなどを残しています。CD2に収録のベートーヴェンの「月光」ソナタ第1楽章の編曲も興味深い仕上がりです。ターティスより少しだけ後に生まれたブリッジも、作曲家として名を残していますがヴィオラ奏者としても活躍していました。ブリッジは、ブリテンの師匠でもあり、ブリテンにヴィオラの魅力を教えた人物でもあります。残念なことにヴィオラの作品はここに収録された「沈思せる人」と、「アレグロ・アッパッショナート」のみ。(「沈思せる人」の対となる未完に終わった「アレグレット」はのちにパウル・ハインドマーシュによって補完されましたが、今回は収録されておりません)。ターティスが愛奏したブラームス、シューマン、ジョン・アイアランドらの作品、そしてフォーレのエレジーも収録。フォーレのエレジーは、ターティス版を使用。ターティスがアナログ盤で残した録音は、収録時間の関係でカットがありますが、リダウトはノーカットで演奏しています。盲目のオルガン奏者ウォルステンホルムの作品は原曲はオルガン曲ですが、ターティスがたいそう気に入って編曲しました。ターティスはクライスラーの作品を10作ヴィオラ用に編曲しており、その中から2作品を収録。エリック・コーツ、フォーサイス、そしてレベッカ・クラークはターティスの弟子。レベッカ・クラークにヴィオラを演奏するよう勧めたのはターティスだったそうです。ヴォーン=ウィリアムズの作品は、ヴィオラの音域に合う6作を演奏しています。
★ティモシー・リダウトは1995年生まれ、王立音楽院で学んだのち、2014年セシル・アロノヴィッツ国際コンクール優勝、2016年ライオネル・ターティス国際ヴィオラコンクール優勝。ヴィオラ界の若手の中では最注目の演奏者で、オーケストラとも共演多数、2021年6月には王子ホールでトランジット・シリーズに登場、「詩人の恋」をヴィオラとピアノで演奏し、聴衆に強い印象をのこしたことも記憶に新しい、注目奏者です。
トレイラーはこちら→
https://www.youtube.com/watch?v=pxTJo9fAT4c
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