★巨匠唯一の全曲録音は1953年にザルツブルクで指揮した《フィガロの結婚》。このオペラの原語はイタリア語ですが、当時のドイツやウィーンでは、ドイツ語歌唱が一般的でした。この53年録音もドイツ語歌唱ですが、クンツ、ゼーフリート、シュヴァルツコップなど名歌手による歌唱に違和感は感じられません。高貴でドイツ語歌唱による格調高さが漂うシュヴァルツコップ(伯爵夫人)、チャーミングな声質が絶品のゼーフリート(スザンナ)、ボーイッシュな声質を披露しているギューデン(ケルビーノ)—女性陣が個性的な魅力を発揮し、男性陣もクンツ(フィガロ)は台詞にも芸達者なところをみせ、シェフラー(伯爵)は貫録の歌いっぷり。ドイツおよび旧オーストリア帝国出身、ドイツ語圏で育った名歌手たちが台詞もふくめて、生き生きと歌い、語り、演じています。そして何よりフルトヴェングラーの指揮!「序曲」のアッチェレランドや、「結婚式の行進曲」でのスケール感など持ち味を見せつつも全体的にはいたってノーマル、豪華歌手の名アリアでは繊細かつ暖かみのある伴奏となっています。
★「問題は、このきわめて繊細かつ人工的でテンポの速いオペラが、いかつくて雄大な姿勢を持前とする指揮者の手の中で、どのように進行するかということである。答は事実きわめて良好である。これは、必要なときは速く、アリア、アンサンブル、そして実際の音楽のどんなパッセージにおいてもけっしてだれることなく、全体に暖か味があり、ときおり全部が絶妙な輝きを見せる点で、指揮者の個性の航跡のみが光るといったすばらしい演奏である。」『レコードのフルトヴェングラー』ピーター・ピリー著、横山一雄訳、音楽之友社刊、1983年)
★1980年、米ワルター協会についでLP発売された伊チェトラ盤 (LO-8)。ミラノ、ディスコス制作のこの音源をキングレコード(セブンシーズ・レーベル)は同年に国内発売しました(GT-7086/8)。4年後(84年)チェトラは「フルトヴェングラー・エディション」シリーズを立ち上げ再発売(FE-27)、キングではK19C-9390/2で再発売しております。しかし、CD化は他社に(仏ロドルフォなど。1996年にはEMIでも)先を越され、マスターテープはキングレコードの倉庫に眠ってまま。今回、このアナログテープ(2トラック、38cm/秒)から、キング関口台スタジオで40年ぶりにデジタル・リマスタリング&初CD化!
★音質は鮮明かつ明瞭!デジタル臭(金属的な響き)のしない、暖かみのある自然な質感!!名歌手揃いの名アリアの数々、楽しさあふれる舞台回し、ウィーン・フィルの美音、フルトヴェングラーの人間味あふれる指揮にききほれてしまいます!
★ブックレットは日本語解説(浅里公三氏のライナーノーツ)付。台詞の場面も含めてドイツ語の歌詞・対訳は弊社HP(WEBサイト)に掲載します。プリントアウトも可能です!(ブックレットに記載してあるパスワードを入力してください)
*こちらには歌詞対訳が付いておりません。ブックレット中のパスワードで弊社ホームページにてPDFをダウンロードできます。
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