★巨匠がザルツブルク音楽祭で遺したモーツァルト3大オペラ。このなかでもっとも評価が高いのが《ドン・ジョヴァンニ》。50年盤(ゴッビ、シュヴァルツコップの共演)、53年盤(騎士長以外は54年盤と同じ)、本54年盤、54年映画(シュヴァルツコップがデラ・カーザに交代)と4種のこされた音源のうち、もっとも歌手が揃っていて、音質も最高の54年盤の登場!
巨匠は冒頭の序曲から、ゆったりとしたテンポで、低弦を深く響かせ、ただならぬ雰囲気を漂わせています。最高の当たり役シエピのドン・ジョヴァンニ、棄てられた女のデリケートな心理を表現したシュヴァルツコップのエルヴィーラ、ふたりの丁々発止の共演は今なお最高の聴きもの。「カタログの歌」、「シャンパンの歌」、「セレナード(窓辺に来ておくれ)」、「薬屋の歌」など名アリアの名唱、舞踏会での饗宴の音楽が続いたあと、一転してクライマックスは地獄落ちのシーン!あまりにも有名、まさに圧巻、デモーニッシュな迫力で圧倒してやみません。
★「ブリジット・プロフィが指摘したとおり、ダンスのいくつか、とくに有名なメヌエットには、説明しがたい、確かに不気味な一面がある。このオペラのあとの部分は、予想されるとおり、一本の巨大なアーチとなって、饗宴の音楽と最終場面の石像の入りに通じている。ここでフルトヴェングラーの考え方はシンフォニックとなる。彼は石像の入りのトロンボーンの恐ろしい音楽を、つづくドン・ジョヴァンニとの二重唱から切り離さない。統合は完全で、最後のヴォードヴィルによってようやく破れるが、それだけにこれは際立った対照を作り上げる結果を生んでいる。」『レコードのフルトヴェングラー』ピーター・ピリー著、横山一雄訳、音楽之友社刊、1983年)(本書では巻末のディスコグラフィーに、下記のキング盤GT-7089/92を紹介しています)
★端緒となったLPは米モルガンレコード、米ワルター協会についで発売された伊チェトラ盤 (LO-7)。ミラノ、ディスコス制作のこの音源をキングレコード(セブンシーズ・レーベル)は1980年に国内発売しました(GT-7089/92)。4年後(84年)チェトラは「フルトヴェングラー・エディション」シリーズを立ち上げ再発売(FE-23)、キングではK19C-9393/6で再発売しております。しかし、CD化は他社に先を越され、マスターテープはキングレコードの倉庫に眠ってまま。今回、このアナログテープ(2トラック、38cm/秒)から、キング関口台スタジオで40年ぶりにデジタル・マスタリング&初CD化!
★音質は先に発売した《魔笛》(KKC4230/2)、《フィガロの結婚》(KKC4233/5)と比べてもさらに鮮明かつ明瞭!デジタル臭(金属的な響き)のしない自然な質感!かつてない優良音質CDといっても過言ではありません。ただひとつ残念なことに、終幕フィナーレの六重唱(と最後の拍手まで計6分)は原盤損傷のため、前年の録音(1953年7月27日ザルツブルク)で補完されていますが、指揮者も歌手もオーケストラも会場も共通しており、違和感はありません。
★ブックレットは日本語解説(浅里公三氏のライナーノーツ)付。台詞の場面も含めて歌詞・対訳は弊社HP(WEBサイト)に掲載します。プリントアウトも可能です!(ブックレットに記載してあるパスワードを入力してください)
*こちらには歌詞対訳が付いておりません。ブックレット中のパスワードで弊社ホームページにてPDFをダウンロードできます。
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