★巨匠の唯一の録音「ファウストの劫罰」が世界初出LPのマスターから初CD化なる!1950年夏のルツェルン音楽祭で行なわれたコンサート。放送局(ベロミュンスター・ラジオ)のテープは消去されたものの、1980年に収集家のコピーテープが発掘され、これをもとに伊チェトラ社が1983年に世界初出LP(FE-21/3)として発売。翌84年にキングレコードがこのマスターから国内LP(K20C-337/9)を発売。キャッチフレーズは「30年待った!!あの幻の名演、ついに陽の目を見る!」とあります。今回、ここから40年ぶりに初CD化!
★4部20景からなるこの「劇的物語」。ゲーテの原作に親しんできたフルトヴェングラーは原曲のフランス語台本ではなくて、ドイツ語訳版を選び、歌手にはドイツ語圏のフローンス(ファウスト)、ホッター(メフィストフェレス)、シュワルツコップ(マルガレーテ)を据えて、上演に臨んだ。「ハンガリー行進曲」「蚤の歌」「妖精の踊り」「トゥーレの王のバラード」「鬼火のメヌエット」「メフィストフェレスのセレナード」など名曲が目白押しの大作を巨匠は指揮して、「ハンガリー行進曲」ではライヴならではの凄みを見せ、シュワルツコップの「トゥーレの王」では絶妙な伴奏で支えています。ドイツ歌劇とフランス歌劇、ふたつの対照的な音楽的キャラクターの融合が図られた、巨匠の貴重な録音です。
★フルトヴェングラーの「ファウストの劫罰」はドイツ語版のテキストがつかわれているのがひじょうに珍しい。これは、ルツェルンがチューリッヒとともにスイスのドイツ語圏であるという理由にもよるものであろうが、フランス語のテキストでききなれた耳にはかなり感触が異った趣きを与える。しかし、ベルリオーズがリストの援助のもとにドイツで上演して評判になったドイツ語版が、はからずもフルトヴェングラーの棒できけたということはすくなからぬ意義をもっているといえる。歌手もドイツ系の一流を揃えているのでその感を深くするものがあるが、フルトヴェングラーの解釈でとくに感銘の深いのは、ドイツ語の語感からうける歌唱部が、グルックからワーグナーに至るドイツ歌劇的な性格(それはベルリオーズにとってはけっして異質なものではなかった)と、オーケストラ部のフランス的なテキスチュアをフルトヴェングラーが要所要所の管楽器の扱いで注意ぶかく描出している、ふたつの対照的な音楽的キャラクターの融合がはかられていることである。録音は1950年代のライヴ・レコーディングだから充分とはいえないけれど、主要パートに与えたフルトヴェングラーの絶妙な指示は充分にうかがい知ることができる。彼が、第3部の鬼火のメニュエットで弱音の効果のなかに透明なテキスチュアを再現しているあたりは、ひときわ感銘が深い。この大曲を通してオーケストラの扱いはドイツ的というよりもラテン的な明晰さを、どの指揮者よりもフルトヴェングラーは描出している。(岡 俊雄、LP発売時のライナーノーツより)
★最も原盤に近いマスターテープ(38cm、2トラック)から、キング関口台スタジオの最新技術によるリマスターにより、CD化!巨匠によって感動的に、劇的に語られた「劇的物語」、没後70年にふさわしい貴重盤の待望のCD化です。
★貴重なドイツ語歌詞と対訳をトラックNoも入れてPDFファイルで弊社HP(WEBサイト)に掲載します。プリントアウトも可能です。(ブックレットに記載するパスワードを入力してください)
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