★フルトヴェングラーは「ワーグナーの音楽には、舞台での演技をはぎとった後でさえも、聴衆に強い印象を与える。・・・楽劇のスタイルを創出しているのは、むしろ音楽なのだ。」(『グレート・レコーディングズ』ジョン・アードイン著、藤井留美訳、音楽之友社2000年刊より)として、≪ワルキューレ≫第1幕や≪神々のたそがれ≫第3幕を大戦末期のころから演奏会形式で取り上げてきました。しかし、録音は1952年のRAI(イタリア放送協会)のために行なった2種類しか残っていません。この2種類の音源、イタリアCETRAで1985年にLPを発売しましたが、CD化はされませんでした。 日本ではキングレコードが、≪神々のたそがれ≫第3幕を2020年6月にCD(KKC.4221)発売しましたが、≪ワルキューレ≫第1幕は未着手でした。今回、世界初のSACD&CD化!
★1952年1月14日と15日の2日間、ローマで≪ワルキューレ≫第1幕(演奏会形式による)全曲上演がおこなわれ、RAI(イタリア放送協会)が収録しております。(14日か15日か、それとも2日間か、説がわかれており不明)。音質は放送録音のためか良好で、有名な冒頭の前奏曲(「嵐」の場面)からオーケストラの弦が生々しく響いてきます。歌手の3人のうち、ヒルデ・コネツニ(ソプラノ:ジークリンデ)、ギュンター・トレプトウ(テノール:ジークムント)は50年ミラノ・スカラ座での「指環」全曲盤と同じ。オットー・フォン・ローア(バス:フンディング)はスカラ座盤より力強く安定した歌唱を示しています。指揮は54年ウィーン・フィル/メードル/グラインドル/ズートハウスとのEMIセッション録音より、熱を帯びた雰囲気あるもの。拍手の音も生々しいです。
★長大な「指環」のなかでも最も密度の濃い名曲の貴重演奏、世界初出LPのマスターテープ(2トラック、38cm/秒)からキング関口台スタジオで最新技術も用い、丁寧にデジタル・マスタリングを行なった結果はLP時代の音質をもはるかに凌ぐもの。さらには初めてSACD&CDに仕上げた、ファンならずとも必聴・必携の貴重盤となっております。
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