★レーガー編曲のバッハのブランデンブルク協奏曲全曲録音(KKC 6145 / AU 23445)でも話題のピアノ・デュオ・タカハシ/レーマンのデビュー盤「オリジナルと超越~作曲者自身による名作4手連弾編曲」が日本語解説付で登場します。
★日本人の高橋礼恵とドイツ人ビョルン・レーマンによる実力派ピアノ・デュオがリリースしたデビュー盤はベートーヴェンの大フーガ、シェーンベルクの室内交響曲第1番、シューマンの交響曲第2番をそれぞれ作曲者自身がピアノ4手連弾用に編曲したものを集めました。このうちシューマンの交響曲第2番は世界初録音です。
★4手連弾ながら、いずれも最高度の難曲。ベートーヴェンとシェーンベルクのオリジナル・ピアノ・デュオ作品は、あまり人気がありませんが、この2篇は悪魔的な輝きと魅力を放っています。シェーンベルクは細かい音の動きによる声部が錯綜しますが、ベートーヴェンの大フーガがそれに劣らぬ複雑さで、ほとんど現代音楽。クライマックスの効果も凄まじく、非常に興奮させられます。
★シューマンの交響曲は、しばしばオーケストレーションの問題が云々されますが、これはピアノのみで、透明ですっきりとした響きに驚かされます。意外にもオリジナルのピアノ作品のような美しさと効果に富み、交響曲第2番の真の魅力に気付かせてくれます。4手ならではの音の厚みで、充実感も満点です。ピアノ・デュオ・タカハシ/レーマンの精密なアンサンブルで超難曲を征服しております。
◆レコード芸術 2020年7月号 特選盤