★後期バロックから古典派への転換期に生きたミシェル・コレット。非常な多作家であるがゆえに、凡庸な曲を大量生産したという一時期のヴィヴァルディにも似た不当な評価を受けることもあります。しかしその音楽の愉しみは他に代え難いユニークなもの。ぜひ真摯に聴いておきたい作曲家です。
★モーツァルトが生まれた1756年に出版されたコレットのOp.26は、チェンバロまたはオルガンで演奏するソロ・パートを伴う、輝かしく愉悦に富んだ協奏曲集です。全6曲イタリア・バロック流に急-緩-急の3楽章構成で書かれ、トゥッティとソロの鮮やかな対比を推進力として進んでいきますが、しばしば鍵盤のソロにヴァイオリンやフルートが絡んできたりと、親密で室内楽的な造りも見られるのが特徴。
★コレットはパリのイエズス会でオルガニストとして活躍する鍵盤楽器の名手であったため、鍵盤書法はたいへん充実。大活躍する鍵盤を聴く愉しみにあふれています。趣味の良いフランス音楽の精彩をまとった作風もじつに魅力的。重厚感のあるバッハの協奏曲などとは一線を画した軽やかな味わいの鍵盤協奏曲で、音楽が美しく飛翔します。
★このディスクでは第1・2・6番でチェンバロ、第3・4・5番でオルガンをソロ楽器に選択。コレット受容に一石を投じる素晴らしく鮮やかな演奏内容です。
◆レコード芸術 2022年9月号 特選盤
トレイラーはこちら→
https://youtu.be/L9_UDE-7h0Q