★2011年からNDRエルプフィルハーモニー管弦楽団(旧:北ドイツ放送交響楽団)の首席指揮者に就任したトーマス・ヘンゲルブロックによるブラームス交響曲全集の映像が発売されます。2016年5月にハンブルク国際音楽祭閉幕演奏会として行われた「ブラームス・マラソン」の模様。一夜でブラームスの交響曲4曲全部を演奏するという大企画でした。演奏が行われたのは、この時点でのオケの本拠地ライスハレ。ライスハレは1908年に杮落しが行われた伝統あるホールで音響にも定評があり、北ドイツ放響とハンブルク交響楽団の本拠地として使われていました。北ドイツ放響は2017年1月にオープンしたエルプフィルハーモニー・ハンブルクが新たな本拠地となり、それに伴いオーケストラ名を改名し、新しいスタートを切っています。ブラームスの故郷ハンブルクのオケである北ドイツ放響による全曲録音のライヴということで注目されますが、北ドイツ放響のブラームス交響曲全集は、ハンス・シュミット=イッセルシュテット、ギュンター・ヴァントと行っています。言うまでもなくオケの主要レパートリーであり、オーケストラの歴史上重要な役割を果たしている楽曲。新たなステージを迎えた同オケにとって記念碑的な演奏となっています。ボーナス映像には、ヘンゲルブロック自身がブラームスの交響曲について詳細に語っており、4つの交響曲に対して、深い知識と興味を与えてくれます。特に今回第4番では、ブラームスが自筆譜に記しながらも、出版の際には採用しなかった冒頭4小節の導入を演奏しており、それについてもヘンゲルブロックが解説しています。
◆レコード芸術 2017年10月号 特選盤