★2021年1月にアン・デア・ウィーン劇場で巨匠ペーター・コンヴィチュニーの新演出により上演されたマスネのオペラ《タイス》。
「タイスの瞑想曲」で知られるこのオペラの舞台は古代エジプト。修道士アタナエルは娼婦タイスを改心させ信仰の道に入るよう導こうとするも、逆にタイスの虜となる。19世紀末のフランスでマスネの人気は絶大なものでした。当時パリ・オペラ座で作品を上演するのは簡単ではありませんでしたが、マスネは《ラホールの王》《ル・シッド》《ウェエルテル》《マノン》といった作品を次々と上演させていました。この《タイス》はまさにマスネの絶頂期にあたる作品。いまでは「タイスの瞑想曲」が有名となっていますが、マスネの特徴があらわれた意欲作といえるでしょう。また現代での上演頻度が少ない理由として、タイスとアタナエルの主役二人に、高い技術が求められることもあげられます。タイスには、オペルンヴェルト「オブ・ザ・イヤー2020」の若手アーティストに選出されたニコール・シュヴァリエ。アタナエルにはウィーン出身の若きバス・バリトン、ヨーゼフ・ワーグナー。タイス、アタナエルの心の葛藤を見事に歌いきっています。コンヴィチュニーの演出はこのオペラのテーマでもある「聖」と「俗」の葛藤を鮮やかに描いています。
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https://www.youtube.com/watch?v=5eTcKT74Tq0