★1724年ロンドンのキングス・シアターで初演されたヘンデルの《ジュリオ・チェーザレ》(エジプトのジュリオ・チェーザレ)。ジュリオ・チェーザレとは、英語ではジュリアス・シーザーで、あの古代ローマにおける最大の英雄ユリウス・カエサルのこと。物語は、ポンペオを追ってエジプトにやってきたチェーザレ。エジプトは、クレオパトラとその弟トロメーオによる共同統治を行っていたが、2人の仲は悪く、お互いが相手を蹴落とし王座を狙っていた。という背景で進みます。恋する英雄チェーザレ。そして最初は自身の権力欲でチェーザレに近づいたものの次第にチェーザレに惹かれるクレオパトラ。壮大な歴史劇をもとに、登場人物それぞれの関係に様々な思惑が絡みあう、波乱万丈な愛と権力のドラマ。勝利と悲しみ、絶望と幸福、愛と憂鬱、人間の多彩な感情表現を見事に描いたバロック・オペラとして人気の高い作品です。
今回は、世界的演出家キース・ウォーナーによる演出。マンキーウィッツ監督エリザベス・テイラー主演の歴史スペクタクル超大作、映画『クレオパトラ』のイメージをバロック・オペラに融合させた革新的な演出。またレベルの高い歌手陣たちが揃い、丁々発止のやりとりも見逃せません。特に現代を代表するカウンターテナー、ベジュン・メータとクリストフ・デュモー二人の活躍が舞台を一層際立たせて、またルイーズ・アルダーの魅惑的なクレオパトラも必見。そしてアイヴァー・ボルトン指揮、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスが鮮烈な音楽を聴かせ、ヘンデルの音楽の魅力も存分に味わうことができます。
◆レコード芸術 2023年1月号 準特選盤
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