★2016年ペーザロ・ロッシーニ音楽祭で上演された《イタリアのトルコ人》の映像が発売されます。1980年にロッシーニ生誕の地ペーザロで始まった音楽祭。毎年8月に開催されヨーロッパの名だたる音楽祭に匹敵する水準と注目度の高さを誇ります。ロッシーニ財団が編纂したクリティカル・エディション(批判校訂版)に基づいて作品を上演。全39あるロッシーニオペラから、知られざる作品の再発見や、レパートリーの定着に貢献しています。
★《イタリアのトルコ人》は、1814年8月14日にミラノ・スカラ座で上演されました。前年に初演され成功を収めた《アルジェのイタリア娘》に設定が似ていたことから、聴衆の評判はあまり良くはありませんでした。しかし、初演当時の誤解からの評価の低さに比べると、今日では、風習、愛に関する高尚な思索、芸術、アイデンティティーをめぐる喜劇が、我々現代人にも共感を呼び高い支持を得ています。
あらすじは、トルコの王子セリム、その元恋人のジプシーの女性ザイダ、夫がいながらもセリムに惹かれるドンナ・フィオリッラ、フィオリッラの気弱な夫ドン・ジェローニオ、その友人の詩人プロスドチモ、フィオリッラを慕うドン・ナルチーゾらのもとで物語が展開していきます。最後は、セリムとザイダは仲良く一緒にトルコ行きの船に乗り、ジェローニオはフィオリッラを許し、フィオリッラは夫の元に戻り感謝する、そしてナルチーゾも自らの道を進み、詩人も満足してハッピーエンドに終わる。
★本上演はダヴィデ・リヴェルモーレによる演出で、イタリア映画界の巨匠フェデリコ・フェリーニの映画『8 1/2』をモチーフとしています。気まぐれな妻フィオリッラを歌うのはロッシーニを得意とするオルガ・ペレチャツコ。蠱惑的な女性を見事に演じはまり役と言えるでしょう。浮気なセリムを歌うのは、ウルグアイ出身、エキゾチックで深みのある声と精悍な姿のアーウィン・シュロット。気弱な夫ジェローニオには柔軟で多彩な表現が魅力のニコラ・アライモ。詩人はイタリアの実力派バリトン、ピエトロ・スパニューリ。と個性豊かな歌手陣が揃っています。
トレイラーはこちら→
https://www.youtube.com/watch?v=9VQOGDWt68Q