★エレーヌ・グリモーとカメラータ・ザルツブルクが、ハンブルクのエルプフィルハーモニーで行った忘れがたい一夜のコンサートがブルーレイ&DVDで発売されます。
グリモーが今回選んだ作品はモーツァルト、シューマンともに短調の協奏曲で、二人の作曲家として最も創造的な時期に作曲されたもの。グリモーは選曲理由を「モーツァルトの短調の作品は少ないですが、彼の有名作を取り囲む陽気さに潜む裏側の顔を垣間見ることができる」と述べています。
モーツァルトのピアノ協奏曲第20番は彼のピアノ協奏曲の中で最も有名な曲のひとつで、モーツァルトが初めて作曲した短調の楽曲でもあります。親しみやすい旋律、充実した音楽、そしてグリモーが言うようにモーツァルトの人間味を感じる作品です。グリモーの軽やかで繊細ありながら、揺るぎない芯のあるタッチでしっかり聴かせます。またカメラータ・ザルツブルクの伴奏も柔らかく小気味良い演奏で、推進力のある演奏。
シューマンが唯一完成させたピアノ協奏曲は、妻クララによって初演されています。冒頭のドラマティックなピアノ、哀愁を帯びたオーボエが主題を奏で、それをピアノが引き継ぐ。何度聴いても魅力的な作品です。グリモーのシューマンの協奏曲は、ベルリン・ドイツ交響楽団&ジンマン指揮(1995年録音)、シュターツカペレ・ドレスデン&サロネン指揮(2005年録音)がありますが、いずれもロマンティシズム溢れる名演。グリモーの清新かつ情感溢れる美しい演奏とカメラータ・ザルツブルクとの絶妙な絡みも聴かせどころです。
アンコールに演奏したのは、グリモーが近年力を入れているウクライナの偉大な現役作曲家ヴァレンティン・シルヴェストロフの『使者』。ピアノと弦楽のための作品で、シルヴェストロフの亡くなった妻のラリッサ・ボンダレンコに捧げられています。
トレイラーはこちら→
https://www.youtube.com/watch?v=he_qTP52f4Q&t=13s