★2023年11月、ベルリン・フィルを率いて来日を果たしたキリル・ペトレンコ。2019年8月にベルリン・フィルの首席指揮者に就任以来、同コンビの演奏を日本で待ち望んできたファンには待望の来日公演となりました。11月14日に高松市で日本公演がスタートし、6都市10公演のツアーは、万雷の拍手と歓声により大成功をおさめました。その熱狂と余韻も冷めやらぬ中、ベルリン・フィル・レコーディングスより新譜がリリースされます。
ラフマニノフ生誕150周年を記念した第2弾アルバムで、交響曲第2番、『死の島』、交響的舞曲、そして第1弾としてリリースされたキリル・ゲルシュタインとのピアノ協奏曲第2番という内容。ペトレンコは、インタビューで「ラフマニノフの音楽を聴くといつも自分の故郷の一部を聴いているような気持になります。」と語っているほど、ラフマニノフの音楽は重要な意味を持っています。
ペトレンコは、ベルリン・フィルに2006年に初登場し、その後わずか3回の共演で首席指揮者に選ばれました。その最初に指揮をしたのが、ここにも収録されている楽曲「ラフマニノフの交響曲第2番」でした。その記念すべき作品を首席指揮者として15年ぶりに指揮をした演奏がここに収められているのです。1906年、ラフマニノフは交響曲第2番を作曲。交響曲第1番が大失敗に終わった後、交響曲第2番の初演の成功は、ラフマニノフの復活を意味する出来事となりました。ラフマニノフが、20世紀初頭の新古典主義の潮流に逆らい、調性に忠実であり続け、物憂げな音楽言語でハリウッドの映画音楽のスタイルを先取りした、自信に満ちた作品です。ペトレンコは、当エディションの核となる作品における膨大な感情的表現だけでなく、その見事なテクスチュアも強調しています。
そしてラフマニノフが1917年に亡命するまで定期的に指揮していた交響詩《死の島》。アルノルト・ベックリンが描いた同名の絵画の白黒コピーから着想を得た、5拍子で、高波に浮かぶ船のように揺れ動く曲想。レクイエムに用いられる荘重なディエス・イレ(怒りの日)のモチーフは、この曲だけでなく、ラフマニノフの他の作品にも繰り返し登場しています。
2022年のヴァルトビューネで演奏されたキリル・ゲルシュタインとのピアノ協奏曲第2番。1901年の初演にはラフマニノフ自身がピアノを演奏、ベルリン・フィルにおける同曲の初演は1903年、そして1908年にはラフマニノフ自身がベルリン・フィルでソロ・デビューを果たし、ピアニスト、作曲家としてのラフマニノフの輝かしい国際的キャリアの礎を築いた最初の作品。
ラフマニノフ最後の作品『交響的舞曲』。ここでもディエス・イレのモチーフが何度も繰り返し鳴り響きます。晩年のラフマニノフはこの作品を自分の最高傑作と語っていたとも言われています。当エディションを締めくくるにふさわしい一作と言えるでしょう。
トレイラーはこちら→
https://www.youtube.com/watch?v=LeliHQt744U