★2017年3月以来ロンドン交響楽団の首席客演指揮者の任にあるロト。これまで「パヌフニク・レガシー・シリーズ」や、カピュソンとのバルトークの協奏曲などのディスクがありますが、これからLSOライヴで名演の数々のリリースが予定されています。手兵レ・シエクルとはひと味異なるシンフォニー・オーケストラの醍醐味を堪能させてくれます。ご期待ください。その第1弾は「若きドビュッシーへのオマージュ」と題された映像商品。1つのパッケージにブルーレイとDVD両方が入っています。
★ドビュッシー最初期の珍品をメインに置きながら、彼がどのように作風を確立して印象主義音楽に発展させていくかを検証する興味深い試みにもなっています。人一倍感性の鋭かったドビュッシーは、いろいろなものから影響を受け、そこから全く独自な美学を作りあげましたが、ごく初期に熱狂して周囲を呆れさせたワーグナー、好きすぎて作曲の弟子だと詐称したマスネの作品もとりあげました。
★また意外に知られていないことですが、若きドビュッシーはラロの音楽も大好きで、ここに収められている「管弦楽組曲第1番」、ことに第4曲にその影響が認められるとされます。そのラロのチェロ協奏曲を、期待の若手エドガー・モローが独奏を務めているのも注目。モローのフレッシュな演奏に加え、ロトの伴奏も絶妙。上品なスペイン色を披露しています。
★注目はロトの「タンホイザー」序曲。これが雄大かつ引き締った快演で、彼のワーグナー演奏をもっと聴いてみたくなること間違いなしのお披露目。LSOもロトにぴったり合わせた見事なアンサンブルを示しています。