★1959年からスイスに住んでいたノーマン・グランツは、1960年の春と秋にJ.A.T.P.による欧州ツアーを企画しましたが、当時コペンハーゲンに住んでいたスタン・ゲッツは2度ともツアーに加わって演奏しました。これは、春にマイルス・デイヴィス・クインテット、オスカー・ピーターソン・トリオと共に臨んだツアーの中から、3月28日にデュッセルドルフで行われたコンサートのステージを西部ドイツ放送協会が録音していたもの。もちろんこれまで未発表だった演奏で、Blu-ray Discと重量盤LPでの登場です。

★当時いつも一緒に演奏していたピアニスト、ヤン・ヨハンソンが加わり、ベースとドラムはピーターソンのトリオから借りた形となったクァルテットは、TCBやDragonから出ているJ.A.T.P.公演での他の日のステージと同様、力みのない、それでいてパワフルにスウィングする演奏を聴かせてくれます。取り上げられているのはスタンにとってはおなじみの曲ばかりですが、彼の生み出すフレイズは新鮮そのもの。汲めども尽きぬ歌心には感じ入るばかりです。