★ふたりのテナー・サックス奏者が個性を競いつつ熱い演奏を繰り広げる“テナー・バトル”チームは、ビ・バップ期以降モダン・ジャズの時代に入っても大きな人気を誇りました。デクスター・ゴードン~ウォーデル・グレイをはじめ、ソニー・スティット~ジーン・アモンズ、アル・コーン~ズート・シムズといったチームはもちろん、数あるビッグ・バンドも対照的なテナー奏者をふたり揃えて彼らのソロ・バトルを売り物にしていました。
★そんなチームの中で最もワイルドかつダイナミックなプレイを聴けるのが、ジョニー・グリフィンとエディ・“ロックジョー”・デイヴィスのコンビでしょう。彼らは、1960年代の初頭、数年間にわたって“Tough Tenors”と呼ばれるレギュラー・グループを持ち、名門PrestigeやRiversideの傍系Jazzlandにいくつもの傑作を残した他、共にケニー・クラーク~フランシー・ボラン・ビッグ・バンドで活躍したり、70年代以降80年代半ばに至るまで何度もコンビを復活させてファンを楽しませてくれました。
★これは、1975年8月8日にハンブルクのクラブ“Onkel Pö's Carnegie Hall”で実現した再会セッションを収めたアルバムで、テテ・モントリュー、ニールス・ヘニング・オルステッド・ピーダスン(ニールス・ペデルセン)、アート・テイラーという彼らにとっては初共演となる強力なリズム・セクションをバックにふたりの熱いプレイが繰り広げられています。
“Sophisticated Lady”と“In Walked Bud”を除くと彼らの共演録音は他に残されていません。グリフィンをフィーチュアした“Sophisticated Lady”とロックジョーのショウケイスとなっている“I Can't Get Started”というふたつのバラード演奏も絶品です!