Palmetto Recordsからヴォーカル作品
愛息子への思いをつづったマクナルティ
- アーティスト:Chris McNulty
- レーベル:PALMETTO RECORDS
- 品番:PM-2176
- ジャンル: ジャンル ジャズ
- 価格:オープン価格
- 形態:CD
Palmetto Recordsからヴォーカル作品
愛息子への思いをつづったマクナルティ
Chris McNulty / Eternal
1. The Saga of Harrison Crabfeathers
2. A Flower Is A Lovesome Thing
3. What Are You Doing The Rest of Your Life
4. Where Is Love?
5. You Are There
6. Star Dust
7. Nature Boy
8. Yesterday I Heard The Rain
9. Love Came On Stealthy Fingers
10. On A Clear Day
11. With Every Breath I Take
12. Boulevard of Broken Dreams
メンバー:
Chris McNulty(vo) with Chamber Ensemble Orchestra and conducted by Steve Newcomb & Trio
John di Martino(p), Ugonna Okegwo(b), Gregory Hutchinson(ds)
★オーストラリア出身。TVショウの音楽など、ジャズというフィールドに留まず、ショウビズ界で活躍した後、88年にNYに拠点を移し、本格的にジャズ・シンガーとしての道を歩んできた、クリス・マクナルティの最新作品。そんなクリスのデビューは91年Discoveryから。作品『Waltz for Debby』では、マイルス・デイビスの名曲Blue in Greenに彼女自身が詩をつけて歌ったパフォーマンスをフィーチャー。その詩は、公式的な著作としても認められ評価を受けました。また93年には、Venusレコードが、NYの6人の歌姫をフィーチャーしたオムニバス盤『ニューヨークのヴィーナスたち』でフィーチャーされたことでも知られています。
★しかし、彼女は、2011年、突然、最愛の息子を失ってしまいます。自身も、“子供をなくすことほど、耳を覆うような、身を切られるような哀しみはない”と語る通り、悲嘆にくれ、すべての時も止まってしまったようです。そのためリリースを計画していた2008年録音作さえも止まってしまいました。
★しかし、一年を経た2012年、彼女は音楽活動を再開。自らもヒップホップのアーティストであった息子に捧げたい、という気持ちの元に本作が誕生しました。哀しみは消えることなく、またアメリカには、ハリケーン・サンディが猛威をふるって、甚大な災害に襲われ、作品は一筋縄では進まなかったようです。しかし、2008年から活動を共にしてきたスティーヴ・ニューカムと手を携え、プロジェクトを進行。その後ニューカムは自らはオーケストレーションを担当し、ピアニストには、自分とは別にジョン・ディ・マルティーノを迎え、根気よく、作品を制作。結果、リズム・セクションにも、ウゴナ・オケグォ、グレッグ・ハッチンソンといった才能溢れるアーティストを迎えるにも至りました。
★作品は、チェンバー・アンサンブルと、トリオの好サポートも受け、ベテラン・シンガーとしてのシルキーな歌声と、自在なヴォーカリーズなども魅力的な歌の数々があります。しかしそうしたことを前提としつつ、何より、数々のスタンダードを取り上げながら、彼女の切々とした表現が印象的です。特に、バーバラ・ストライザントが歌ったことでも知られるM3は、日本語タイトルでは“これからの人生”と題されたもので、再出発を歌う歌。哀しみを底に秘めつつも、決意に満ちた力強さも印象的です。そして、溢れるのは母性。かけがえのないものを失った一方、彼女は“死というものでも分つことができない絆がある”と語り、どの曲も愛情を込めて歌い紡ぎ、聴く者の心を揺らします。
★“哀しみの表現ではなく、希望や、絆への思いを語りたい”、とも語った彼女。今後の活動も気になります。