悲しみの5段階
ノルウェーのギタリスト、クリスティーナ・ヴォールリによる新作
亡き友人に捧げるアルバム
- アーティスト:クリスティーナ・ヴォールリ
- レーベル:SIMAX
- 品番:PSC-1393
- ジャンル:
ジャンル
クラシック
器楽曲
- 価格:オープン価格
- 形態:CD
- 収録時間:64:47
TRACK LIST
悲しみの5段階
シュテパーン・ラク(1945–):サブリナのためのトンボー(2019)
ニキータ・コシュキン(1956–):ソナタ第2番(2011)
武満徹(1930–1996):森のなかで - ギターのための3つの小品(1995)
ペーテリス・ヴァスクス(1946–):孤独のソナタ(1990)
ゲオルク・シュミッツ(1958–):最後のアンコール
クリスティーナ・ヴォールリ(ギター)
[使用楽器: Andrés D. Marvi/Strings: D’Addario EJ46]
録音:2022年8月14日–17日 ロンメダーレン教会(バールム、ノルウェー)
制作・録音エンジニア・ミクシング・マスタリング:ヨルン・ペーデシェン
★ノルウェーのギタリスト、クリスティーナ・ヴォールリ (1994–)が2019年にリリースしたデビュー・アルバム『ある考え(An Idea)』(PSC 1369)は、優れたレビューを多く獲得し、「クラッセカンペン」紙の「2019年最優秀ノルウェー・クラシカル・アルバム」に選ばれました。
新作のアルバムは、彼女がフローニンゲンのプリンス・クラウス音楽院で学び、友人でもあったサブリナ・ヴラスカリッチが交通事故に遭って亡くなったことをきっかけに作られました。
アルバム・タイトルの『悲しみの5段階』は、精神科医エリザベス・キューブラー=ロスの提唱した「キューブラー=ロス・モデル」と呼ばれる「受容のプロセス」モデルにより、「否認」「怒り」「取引」「抑うつ」「受容」の5つの段階にヴォールリの選んだ5人の作曲家の作品があてられました。
「否認」にあてられた《サブリナのためのトンボー》は、ウクライナ出身のチェコのギタリスト、作曲家のシュテパーン・ラク が、サブリナの悲報に接した彼が、クラシカル・ギターの伝統により率直な感情とともに書いた小品です。
ロシアのギタリストで作曲家、ニキータ・コシュキン は、ソビエト・ロシア時代の先達、とりわけプロコフィエフを思わせる、輪郭のはっきりした形式プランによる作品を書いてきました。2011年の《ソナタ第2番》も、その一作。「アレグロ・モデラート」「アダージョ」「アレグロ」の3つの楽章のメロディアスな作品です。
武満徹の《森のなかで》は、病床で作曲が行われ、彼の完成させた最後の作品といわれます。ロングアイランドの景色を描いたコーネリア・フォスの絵画からインスピレーションを得た〈ウェインスコット・ポンド〉。トロントの閑静な住宅地「ローズデール・ウッズ」をタイトルにした〈ローズデール〉。巨大なセコイアの樹が人の弱さを教える、サンフランシスコ郊外の《ミューア・ウッズ》。「3つの小品」がそれぞれ、ジョン・ウィリアムズ、荘村清志、ジュリアン・ブリームに捧げられています。
ペーテリス・ヴァスクスは、母国ラトビアの民俗音楽の要素と現代音楽の語法をダイナミックに関連づけた作品で知られます。《孤独のソナタ》は、彼がヴァイオリン協奏曲《遠い光》で国際的に有名になる前、1990年に作曲されました。深い宗教心が底に流れる「Pensieroso(憂いに沈んだ)」「Risoluto(決然と)」「Con dolore(痛ましく)」の3楽章の作品です。
ゲオルク・シュミッツは、ドイツの作曲家、ギタリスト。マインツのペーター・コルネリウス音楽院とヨハンネス・グーテンベルク大学で学び、パリの IRCAM の夏季アカデミーに何度も参加してきました。2007年にコブレンツ国際ギター・アカデミーを創設したことで知られます。《最後のアンコール》は、「Andante(アンダンテ)」「Bewegt(速く動いて)」「Furioso(激しく)」「Gesungen(歌った)」の短い4楽章の作品です。
ヨルン・ペーデシェンが制作を担当。バールムのロンメダーレン教会で録音セッションが行われました。きわめて個人的な思いから生まれながら、「悲しみ」を知る人だけでなく、音楽を愛するすべての心に語りかけるアルバムです。
[プロフィール]
クリスティーナ・ヴォールリ(1994–)。ノルウェーのスタヴァンゲル生まれ。2017年アントワープ国際ギター・コンペティションで第1位を獲得。2013年からスコットランド王立音楽院でアラン・ニーヴに、2014年からオランダ、フローニンゲンのプリンス・クラウス音楽院でサブリナ・ヴラスカリッチに学び、2017年にバチェラーの学位を取得しました。ノルウェー国立音楽大学でエーリク・ステンスタヴォルとオット・トロネンの「アーティスト・ディプロマ」クラスで学び、24歳でプリンス・クラウス音楽院の教授に任命されました。
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