すごいマルチタレント。
現ロシア正教会の府主教のオーケストラ自作自演集
- アーティスト:イラリオン・アルフェエフ府主教
- レーベル:PENTATONE
- 品番:PTC-5186486
- ジャンル: ジャンル クラシック 声楽曲
- 価格:オープン価格
- 形態:SACD Hybrid
- 収録時間:74:05
すごいマルチタレント。
現ロシア正教会の府主教のオーケストラ自作自演集
★ SACDハイブリッド盤。現在ロシア正教会の府主教(総主教に次ぐナンバー2の高位)を務めるイラリオン・アルフェエフの作曲集を、何と作曲者本人の指揮で味わえる何とももったいなきCDの登場です。
★イラリオン府主教ことアルフェエフは1966年モスクワ生まれ。当初グネシン音楽学校でヴァイオリンと作曲を学ぶものの、モスクワ神学大学に進み、そちらを天職としました。2003年にはオーストリア主教、2009年にヴォロコフムスク市の大主教に就任。モスクワ総主教庁渉外局長も兼務するなど、ロシア正教信者から生神として崇拝される存在となっています。著作「信仰の機密」は邦訳も出版されています。
★作曲家としては宗教作品が中心で、無伴奏合唱のためのロシア聖歌多数のほか、オーケストラ付の「マタイ受難曲」(2006) などはフェドセーエフ指揮チャイコフスキー記念モスクワ放送響のCD がrelief レーベルよりリリースされています。彼の宗教合唱曲は現代的な所のないディレツキーからチェスノコフ伝統のロシア色と敬虔さのあいまった独特の世界。オーケストレーションも巧みで感動的です。
★当ディスクに収められた5篇はいずれも最近作。ラテン語による「スターバト・マーテル」と「深き淵より」はポリフォニックな書法が興味津々。ロルカのスペイン語詩による「死の歌」は4 曲から成りますが、ギターが効果的。同じ詩ではないものの、ショスタコーヴィチが交響曲第14番「死者の歌」でロルカの詩を用いていることの遠いこだまが聞こえます。また純器楽曲「コンチェルト・グロッソ」はイラリオン府主教としては珍しく現代的な匂いのする力作。
こちらはシュニトケやシルヴェストロフを思わせます。さらに「BACH のモチーフによるフーガ」はシ♭ - ラ- ド- シのモチーフによるフーガで、もはや府主教の余技とはいえない高度な作曲技法に驚かされます。
★イラリオン府主教の指揮ぶりは見事なもので、抑制がききながらもスヴェトラーノフ風なエネルギーを感じさせるロシア流。ロシア正教信者はもちろん、あらゆるロシア音楽ファンにオススメです。
★録音は2014年4月にモスクワで行われましたが、オルガン・パートのみ、ベルリンの聖ルドヴィク教会で収録され、ミキシングされているのも注目です。