★グルックの『オルフェオとエウリディーチェ』(PTC-5186805)やヘンデルの楽器オブリガート付きのアリアを集めた『オペラ・アリア集』(PTC-5186892)など注目の録音をPENTATONEレーベルで行うデイヴィッド・ベイツ率いるイギリスの気鋭の古楽グループ、ラ・ヌオヴァ・ムジカによるヘンリー・パーセル(1659-1695)の『ダイドーとイニーアス(ディドーとエネアス)』が登場です。
★バロック・オペラを代表する作品の一つであるだけでなく、英語による最も有名なオペラとも言えるパーセルの『ダイドーとイニーアス』。全編が歌われる完全なオペラとしてはパーセルが残した唯一の作品で、古代ローマの詩人ウェルギリウスの叙事詩「アエネーイス」のひとつのエピソードである英雄アイネイアースとカルタゴの女王ディードーの悲恋を原作として、パーセルと同時代の人気劇作家ネイハム・テイトが台本を書いた作品です。
★ダイドーを歌うのはイギリス人の父とシンガポール人の母のもと、北アイルランドに生まれた、フルア・バロン。欧米各国の劇場で引く手あまたの注目のメゾ・ソプラノです。イニーアスを歌うマシュー・ブルックは現在世界で最も活躍するバス・バリトン歌手の一人であり、バロック音楽のソリストとしても定評があります。タイトルロールの二人以上に美しい持ち歌が割り振られているダイドーの侍女ベリンダには、バロックから古典派作品を得意とするイタリア人ソプラノ、ジュリア・セメンツァートを起用。これまでにも名歌手が歌ってきた美しいアリアのあるベリンダを若き実力派がどのように歌うかにも注目です。典型的なヴィランながら物語の黒幕である魔女たちの親玉であるソーサラーはエイヴリー・アムロー、出番は短いながらストーリーに強烈な印象を残す精霊にはこのグループと共演の多いカウンターテナー、ティム・ミードなど、全歌手に実力派を配した豪華なキャストとなっています。またオーケストラは弦楽器4-4-2-4でコントラバスなし、通奏低音には、テオルボ、ギター、ハープと撥弦楽器が多く配置され、チェンバロとオルガンも各2台用いられています。ここに打楽器奏者も二人、オーボエ&リコーダー奏者が加わり、合唱団も14人と、ピリオド楽器によるこの作品の演奏としてはかなり大規模な編成となっています。オーケストラには、古楽ファンにはお馴染みのイギリスのベテラン、ヴィオラ奏者ジェーン・ロジャーズも参加しています。
★この大きな編成で、音楽と物語のコントラストを重要視したという指揮者のベイツは、1時間ほどの短いオペラをスピーディに、一気呵成に聴かせてくれることでしょう。劇音楽を得意とするグループだけに期待が高まる録音です。
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https://youtu.be/5sRRxPO44s0?si=LO2Hkt6rUvLLxLI7