★モラヴィア出身の作曲家ヤン・ノヴァーク(1921-1984)の協奏曲アルバム。1940年代後半、アメリカでマルティヌーに師事し、50年代から映画音楽など数多くの作品で人気を博しました。しかし、母国の共産主義体制に反発しデンマーク、イタリア、ドイツに亡命。晩年はバイエルンに居を構え活動しました。
★母国では長らく発禁処分扱いの作曲家であったノヴァークの作品ですが、作曲者歿後30周年にあたる2014年にスプラフォン・レーベルからリリースしたのが「ヤン・ノヴァークの合唱作品集」(SU-4159)でした。このリリースによってノヴァークの再評価が進み、現在チェコをはじめ演奏機会が徐々に増えつつあります。
★当アルバムは来年(2024年)の歿後40周年を前に協奏曲3篇を録音。当録音の注目はノヴァークの愛娘がソリストを務めていること。フルートのクララ・ノヴァーコヴァーは、15歳のときに父親から「Choreae vernales」の初稿を献呈されたときの思い出とともに、父への感謝の思いを込めて演奏。またドラ・ノヴァク=ウィルミントンはピアノの名手であった母エリシュカを思い出しながら偉大な父の作品に挑みました。当アルバムの録音は、ある意味「時を超えた家族の再会」ともいえます。
★ノヴァークの音楽は、軽快で優雅、ユーモアのセンス、そしてわずかに挑発的でもあることで知られ、ニューヨークでマルティヌーに師事したときの印象や一緒にジャズクラブを訪れた時の思いなどが詰まった「2台のピアノとオーケストラのための協奏曲」は、師から認められたいという願望が反映されているともいえます。
★またノヴァークは、日常生活においても使い、完璧にマスターしていたラテン語にインスパイアされた作品も数多くあります。4手ピアノのための「Concentus biiugis」は、作曲者がドイツに亡命していた年に母国の反体制運動である「憲章77」に賛同していることをあらわした作品。その3年後、ノヴァークはこの作品に弦楽オーケストラをつけ、非常にカラフルな作品に仕上げました。今回録音されたのはほとんど知られていない改訂稿で、当バージョンでは世界初録音となります。
★指揮はトマーシュ・ネトピルです。ネトピルは1975年チェコ共和国東部のクロメルジーシュ生まれ。ザルツブルク音楽祭やベルリン・フィル、ドレスデン・シュターツカペレの公演に出演、2013/14年のシーズンよりエッセン歌劇場の音楽総監督に就任すると同時に、ドレスデン国立歌劇場、パリ国立オペラ座、ウィーン国立歌劇場、またベルリン・フィル、パリ管、ロンドン・フィルといった、欧州各地のオーケストラや劇場へ出演するなど、オペラ、コンサートの両面で活躍を続けています。日本では2019年11月、読売日本交響楽団との演奏会も話題となりました。
トレイラーはこちら→
https://youtu.be/rI2m6XsbdfI?si=aD0lbYOSf-F_ktd-