ホロデンコは1986年生まれ、2010年仙台国際音楽コンクール第1位、
2013年ヴァン=クライバーン国際ピアノコンクール第1位に輝いたのをはじめ、
多数の国際コンクールで輝かしい受賞歴をのこしています。来日も多く、日本でのファンも着実に獲得しつつあります。
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●=質問
――以下=ホロデンコの回答
●日本でもおなじみのホロデンコさんですが、何度目の来日になるのでしょうか?
――2008年から定期的に来ています。何度来たか、もう数えられないかな。毎回、昔からの友人と会うこと、そして新しい出会いがあることを楽しみにしています。
●今回も興味深いプログラムですが、いずれもホロデンコさんの演奏としては初めて聴くように思われます。Beethovenはこれまで「熱情」や「テンペスト」を披露されていますが、今回の「月光」はホロデンコさんにとってどのような曲ですか?
――毎シーズン、メインとなるプログラムを2~3組決めますが、選択の基準は自分にとって何か新しい発見がある曲や、またその時点で興味を持って研究している曲を入れたいということです。ベートーベンの月光ソナタは私が最初に聴いたピアノ曲で、いわば私をクラッシク音楽に導いた曲とも言えるものなので、再訪したいと思いました。プロコフィエフとスクリャービンはピアノ音楽に重点を置いた最後の作曲家たちです。これらの作曲家は私のライフワークの一つですが、とりわけソナタ作品に関しては、いまでも飽くことない探求を続けています。
●難曲という点では、ゴドフスキ編曲のショパンの練習曲にとどめをさすと思われますが、ゴドフスキにご興味がおありなのですか?
――次の大きな録音プロジェクトとして、ゴドフスキ編曲のショパン練習曲とショパンのオリジナルの練習曲の全曲を組みあわせたCDを予定しています。数年の中に完成したいと思っています。ゴドフスキによる編曲集は「超絶技巧」という側面もありますが、彼のショパンのポリフォニーに対する細やかなアプロ―チ、(現代人から見ると)変わったペダル奏法、独創的なフレージング等々、言い尽くすことが出来ないほどに、過去の演奏法の重要な面をたくさん見出だすことができます。余り演奏されることのない曲ですが、上述の理由でゴドフスキに取り組みたいと思いました。
●どの作品も凝ったピアニズムの点でも響きの点でも、ピアノに頼る部分が大きいと思いますが、ファツィオリの魅力は発揮できていますでしょうか?
――日本で演奏するときには、ファツィオリジャパン株式会社のアレック・ワイル氏のお蔭でファツィオリで演奏することが出来ることを、とても幸運に思います。ファツィオリピアノは私の演奏の音色の幅を深め、従って音色のパレットを豊かにすることを可能にするので、私の考えるイメージを最も詳細に表現することができるのです。
●ハルモニアムンディから、プロコフィエフのピアノ協奏曲の第2弾のCDがリリースされたばかりですが、このアルバムの魅力について教えてください?
――第2弾は私の特に好きな曲、第1番と第3番、それから弾かれることが比較的少ない第4番が入っています。このCDをお手にとってくださった方は、もしかしたら第1番、第3番からお聴きになるかもしれませんが、私は第4番をお薦めします。この曲は左手のためだけに書かれたものです。この作品はプロコフィエフのバレエ音楽と似通っていて、非常に「反ピアノ」的プロコフィエフを感じることができるでしょう。
●次のCDリリースは決まっていますか?
――上述したように、次のCDはゴドフスキ編曲のショパン練習曲です。2019/2020のシーズンで録音を行うので、リリースは2020/21年のシーズンの始めころになるでしょう。
●コンサートを楽しみにいたしております。
――有難うございます。来日を楽しみにしております。
**最新盤**
HMM 907632
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番、第4番、第3番
ヴァディム・ホロデンコ(ピアノ)
ミゲル・ハース=ベドヤ(指揮)
フォートワース交響楽団
詳細はこちら!
**ホロデンコ公演情報**
6月11日(火)19:00開演 豊洲シビックセンターホール
詳細 https://fazioli.co.jp/news/2019/05/Vadym-Kholodenko-Special-Program-Concert.html
6月13日(木)13:30開演 横浜みなとみらいホール
詳細 http://www.kanagawa-geikyo.com/calendar/concerts/190613-1/190613-1.html
6月16日(日)14:00開演 美浜町生涯学習センターなびあす
詳細 https://navi-us.jp/event/3413/
**レコード芸術2019年1月号に掲載されたホロデンコへのインタビュー全文もこちらからご覧いただけます。**
https://fazioli.co.jp/diary/2019/03/Vadym-Kholodenko-Record-Geijutsu-Interview.html